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この状況がソ連崩壊以後続いているのですから、毎日停電しないだけましかもしれません。給湯のほうも今年は、常時ではありませんが蛇口を捻るとお湯が出るので入浴することも出来ます。昨年は5月中旬から10月末まではお湯は全く出ませんでした。
【ウラジオストク生活】
上述のとおり生活環境は決して良いとは言えませんが、慣れというのはおそろしいもので、赴任して1年5ヵ月が過ぎた現在では多少のことでは驚かなくなりました。些細なことから生死に係わることまでいろいろ当地では経験させてもらいました。
例をあげますと、3月3日(日)早朝3時、息苦しくて目を覚ました時には、10階の私の部屋には煙が充満しておりました。非常階段などというものはありませんので、外に出るためにはアパート内部の階段を利用するしかなく、眠っていた隣人(領事館員)をたたき起こし、防寒用に取りあえずその辺にあったものを着込んで何とか1階まで辿り着くことができましたが、煙で視界が効かないのと息苦しい状況は模擬機関室を使用しての消化訓練を彷彿させるものがありました。
また、3月29日には私の乗った車が赤信号で停車中のところに、後方から鉄の固まりのようなロシア製大型トラックが突っ込んで来て、我が愛車カローラは大破、ついでに衝突の弾みで前方に押し出され道路側溝に落ちてしまい恐怖を2度味わいました。
後日談ですが交通警察が事故証明(事故の事実のみが記載された簡単な内容)を当方に送付して来るまでに1月半かかり、右証明書を持参して税関に赴き、車の抹消登録を申請したところ、外交官は無税通関しているので、廃棄処分した旨の証明が必要であるとウラジオストク税関長自らが申してくれました。右税関長は使用不可となった車は日本に持ち帰るか、部品単体でも譲渡することができないように処分するか、或いは第3者に譲渡してもよいが、その場合然るべき税金を徴収するというのが税関の立場であると、当方の不幸な出来事に同情する気配など微塵も見せることなく、淡々と説明してくれた次第です。ロシア人に譲渡する場合、新たに問題が発生する可能性が大なので、廃棄処分にすることに決め、業者に必用経費を照会したところ、1,000ドルはかかるということでした。事故の加害者からは何の連絡もないし、車は使いものにならないようにされた揚句、さらに税金まで取られるということで、まともな神経をしていてはとてもロシアの人達とはお付き合いできないと悟った私は、直ちにロ

 

 

 

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